GANKOの日記
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10月31日(月曜日) 旧暦九月廿九日 先勝 戊子 晴れ

神田川沿いに、江戸川公園まで歩く。
「それにしても文京区は坂が多いですなぁ」と、舌を出すイッテツ。
少々、歩き過ぎたようです。


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10月30日(日曜日) 旧暦九月廿八日 赤口 丁亥 曇りのち晴れ

午後、キタイとイッテツと連れ立って、
江戸天下祭を見学に日比谷公園へ。
一昨年の江戸開府四百年を契機に始まったお祭も、
今年で三回目。ほんの少しですが
東京の街にも馴染んできたようです。

夜、
飛竜頭(ひりょうず)のあんかけと、野菜たっぷりの豚汁。
だんだんとこうした食べ物が恋しい季節になってきました。


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10月29日(土曜日) 旧暦九月廿七日 大安 丙戌 曇り、のち雨

モスクワより、初雪便り。

26日、 やけに朝焼けのきれいな朝かと思ったら どんよりと重たい雲が立ち込め1日中雪が降り続いていました。 あたり一面銀世界です。 翌日からは晴れたり降ったりの繰り返し。 道路は凍結しているし、歩道は雪解けと氷で歩くのが困難です。 朝はマイナス10度。さすがに帽子がないと脳みそまで凍りそうです。 プーシキン美術展 始まったようですね。 モスクワに戻ってくるのは来年4月なので、年末東京で見なくては。

本日の夕飯、
キタイを手伝って、信太巻きを拵える。
一塩した鯖とまだまだ、おいしいべったら漬けをお供に。


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10月28日(金曜日) 旧暦九月廿六日 仏滅 乙酉 晴れ

朝方冷え込むも、日中は穏やかな過ごしやすい一日。
今日はイッテツと湯島天神へ。
鳥居のそばの大銀杏はたっぷりと実をこぼし、
幾人かが銀杏拾いに精を出していました。
境内は、来月一日より始まる菊花祭へ向け、
すでに鉢が運び込まれ、華やかな風情。
お祭の期間はちょうど身頃となりそうです。

男坂の石段を降り、天神下をぶらぶら。
「このあたりは、まだ江戸の情緒を残していますねぇ」
居酒屋〈シンスケ〉の入口に下がった
酒林(さかばやし)を見上げながらイッテツ。

湯島の路地に入り、〈花月〉のかりんとうを買って帰る。


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10月27日(木曜日) 旧暦九月廿五日 先負 甲申 雨、のち晴れ

昨夜来の雨も、お昼前に上がり、清々しい秋の空、広がる。
イッテツと神田明神へお参り。〈天野家〉で、みつ豆。
聖橋を渡り、古書店街を回って帰る。

夜、

菊花の酢の物、
里芋の煮ころが、
銀杏入り茶碗蒸し、
蛸刺し(かぼす添えて)、
大根と浅利の小鍋だて。


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10月26日(水曜日) 旧暦九月廿四日 友引 癸未 雨

高木泉先生より、秋便り。

昨日のこと。 美しい日本のまっ最中、天に抜ける様な空。 これは、伊豆山へ行かない手はないと、 三度一路伊豆半島へいきました。 目指す所は伊豆山神社。 今日は白山神社へも20分険しい山道を登りました。 太古からの大樹。 何層にも積みかされなれた腐葉土は足に柔らかく、 空気の美味しい事、おいしいこと。 気持ちの良い汗をかいた後は、 地産のお野菜のミネストローネ、相模湾の獲れたてお魚のパスタ、 を頂き、いつもの様に温泉です。 帰りには、タルトが自慢のお店へ。 近頃わたくしは、紅玉林檎に埋まれて、せっせっと、 ジャム、タルトタタン、パイ、パウンドケーキ、焼き林檎、など、 ありとあらゆる林檎のお菓子を作っておりますので、 つい、林檎のタルトが気になります。 存分に鋭気を養い帰宅、 無事車庫に入れたところで、遠野より、二回目の紅玉が届きました。

わたくしは、といえば、
雨の中、上野の森へ『プーシキン美術館展』。
マチスの『金魚』は聞きしに勝る傑作で、
そこには生命そのものが描かれているのでありました。
絵が目の前に迫ってくるにつれ、
ざわざわと鳥肌が立つのはほんとうに久しぶりの体験でした。

帰り。上野仲通りの〈蓮玉庵〉にて、新そば。


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10月25日(火曜日) 旧暦九月廿三日 先勝 壬午 晴れ

向笠千恵子さんより、
高島屋セミナー参加のお礼の電話をいただく。
先生、セミナー当日、風邪気味だったそうで、
翌日から発熱され、週末は臥せっておられたそうです。
本日朝のラジオ番組は無事勤められたそうですが、
まだ少々、風声。
寒さ募る折、早くお元気になって欲しいですね。

夕方、中央通りを京橋まで、骨董など眺めながら歩く。
お蕎麦屋さんに「新そば」の張り紙を見かけるようになりました。


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10月24日(月曜日) 旧暦九月廿二日 赤口 辛巳 晴れ

モスクワのエリコさん(高木泉先生の従姉妹さん)のより、久々のお便り。
寒そうですが、ロシアの食を楽しんでいらっしゃるようです。

モスクワは冬の訪れです。 いつもと同じ朝7時でもまだ真っ暗で、 優太が出掛けるのは零下2〜3℃の中です。 昼間も7〜8℃で街行くロシア人は 帽子(スカーフのおばさんもいます)にオーバーコートにブーツと完全防備です。 ロシアで売っているブーツは中が起毛になっているので暖かいです。 今から冬の格好をしているので この先もっと寒くなったら毛皮でも着込まなくては。(欲しくなりました) さて、10月初めまでは「黄金の秋」と言われる季節のとおり見事な紅葉でした。 日本のように赤く色付く木はめったに無いので黄色一色です。 そんな秋の1日、家族でJAL主催のバスツアーに参加しました。 なにしろベルギーのように 週末ちょっとドライブというのができないのでありがたい企画です。 行き先はモスクワからバスで2時間ほどのセルギエフポサードというロシアの古都。 世界遺産にもなっているトロイツェ・セルギエフ大修道院を見学しました。 ロシア正教の一大聖地とされる修道院です。 ロシア人は信仰深く熱心にお祈りをしている姿がとても印象的でした。 そしてマトリョーシカ工場での絵付け体験。 すでに下書きがしてあるマトリョーシカに色を塗るのですが、 丸みのあるものに色を塗るのは至難の業。 優太の作品は色がにじんでしまい 摩訶不思議なマトリョーシカに出来上がってしまいました。

お昼はボルシチにピロシキ、熱々のキエフカツをいただきました。
その後、19世紀の貴族が住んでいたというアブラツェヴォへ。
その昔ツルゲーネフをはじめとするロシアの芸術家たちが集った貴族の館が残っています。
広大な田園風景を散策しタイムスリップしたようでした。
このあたりは「黄金の環」と呼ばれる観光スポットで、
1度行ってみたいと思っていたところでした。
スズダリもおすすめだそうです。

先日は蜂蜜ルイノック(=市場)へ行ってきました。
場所は我が家から1時間ほどのカローメンスコエ公園。
この日は最終日とあって駐車場には観光バスまで停まっていました。
屋根のある屋台がぎっしり並んでいました。この数の多さにびっくりです。
ロシア中の蜂蜜農家が集ったようです。
ロシア人は蜂蜜好きと聞きました。
これからの長い冬を乗り切るための栄養補給なのか、
まとめて何種類もの蜂蜜を買っていくそうです。
お決まりのアカシアの蜂蜜、
名前が分りませんが黄色い花や紫の花の蜂蜜、蜜蝋、蜂蜜のお酒もありました。
愛想のいいおじさんのお店で買った蜂蜜は少し白くかたまりのある感じ。
キリンソウの蜂蜜だそうです。
プロポリス入りのハンドクリームはべたつかず手がしっとりします。
木枯らしが吹く寒い日でしたが、
寒さを忘れさせてくれるほど興味深い日となりました。



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10月23日(日曜日) 旧暦九月廿一日 大安 庚辰 晴れ

朝、新潟より野菜ときのこが届く。
お電話をすると、新潟もだいぶんに冷え込んできたとのこと。

秋晴れの午後。イッテツと本郷まで歩く。
不忍池にも、秋の気配。

夜は、いただいた野菜で、寄せ鍋。
なめこは、おろしに。

空気が乾いているのか、冴え冴えとした月。


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10月22日(土曜日) 旧暦九月廿日 仏滅 己卯 晴れ

夕方、鳥越の今井老人が立ち寄ってくださる。
三田からの帰りとかで、
〈大阪屋〉の『秋色汁粉(しゅうしょくしるこ)』をいただく。
「べったら市も終わって、すっかり冬めいてきましたねぇ」

上がっていただき、しばし談。
「どうですか、綺堂さんは?」
「面白いですねぇ。
語り口がとってもモダンなので驚きました。
江戸から東京にかけての描写がじつに生き生きと・・・、
宮部みゆきさんがお手本にしていらっしゃるのもわかります。
「そうでしょう、そうでしょう」


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10月21日(金曜日) 旧暦九月十九日 先負 戊寅 曇り

高木先生より、旅便り。

先日、伊豆山神社へ行ってきました。 天皇家が訪れて、頼朝と政子もデイトした位の高い神社です。 良いですよー。 帰りは、奥湯河原の温泉でゆっくりしてきました。

昨日は、京都の今年最後の麩嘉。
縁さんの見事な包丁裁きでした。
来年1月は、菱岩さんのお弁当で始まります。

11月の美山もきっと良いでしょうね。
小松(華功)先生のご機嫌伺いのお電話してみます。

べったら市も終わり、深まる秋。
散歩の途中、風が冷たく感じるようになってきました。


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10月20日(木曜日) 旧暦九月十八日 友引 丁丑 晴れ

秋晴れの一日。
向笠千恵子さんの日本橋高島屋セミナー
『日本橋にごちそうさま!』の第三回へ参加。

今回はこれまでとは趣向をかえて、
実際に界隈の老舗を回り、べったら市に出かけます。
会場も日本橋高島屋ではなく、〈山本海苔店〉の本店内で。
少し遅れて到着すると、会場は参加者の方々でいっぱい。
二十五名もの方々が参加されたのだそうです。

まずは向笠さんから、今回訪れる人形町のお話。
次いでタイちゃんとの海苔談義。
盛り上がったところに、〈蛇の市本店〉さんより海苔巻きの到着。
向笠さんのお知り合いで、最近本石町に出店した
〈更科大一庵〉より差し入れいただいたそば寿司とあわせての試食となりました。
いずれも海苔は〈山本海苔店〉のもの。
蛇の市の巻きにはネタにあわせて硬軟二種類の寿司海苔が使用されています。

参加された方々より、「おいしい」との声が上がり、
なんだかわたくしも誇らしげな気持ちになりました。
向笠さんのアイデアで、海苔酒(のりざけ)も登場しました。

さて、腹ごしらえがすんだところで、向笠さんと一緒に人形町へ。
最初に訪問したのは、わたくしもお気に入りの江戸楊枝〈さるや〉。
山本社長のお出迎えを受けて、ショーケースに並ぶ色とりどりの楊枝を眺める。
次いで人情焼きの〈重盛永信堂〉へ立ち寄り、
玄冶店(げんやだな)跡のそばにある刃物の〈うぶけや〉へ。
昔の人形町の風情を残す建屋に、ほうとため息が出る。
今回参加された方の中には
かつての賑やかな人形町をご存知の方もいらして、
「ここが寄席で、映画館もたくさんあって・・・。
そういえば力動山の道場もあったけ」などと懐かしそうに話されていました。

人形町を巡ったあとは、いよいよべったら市へ。
小伝間町の方へ少し歩くと、
左手に高張り提灯の灯りが見え、賑やかな声が聞こえてきました。
ひょいと曲がれば、そこはもう寶田恵比寿神社の門前。
普段は静かな小オフィス街がうそのように、
通りの両脇にはぎっしりと屋台が並び、威勢の良い掛け声が飛び交っています。
この雰囲気の中にいるだけで楽しい気分になってきます。
向笠さんも日本橋の生まれだけあって、べったら市は馴染みのもの。
子どもの時分に帰っていらっしゃるのか、とても嬉しそうです。

寶田恵比寿神社にお参りをすませ、
これまた向笠さんのご好意で浜町の〈新高屋〉さんより差し入れいただいた
べったら漬けをおみやにいただき、帰ろうとしたところ、思わぬ知らせ。
事務局の三谷さんと向笠さんが地元の氏子役員に掛け合ってくださり、
神社の守り神である恵比寿様を拝見できることになったのです。

寶田恵比寿神社の神さまは、
江戸城のそばにあった宝田村が現在の場所に移転する際に、
家康公からいただいたものとの言い伝えが残っています。
運慶作とも左甚五郎作ともいわれ、普段は拝見することができません。
昨年は損傷を食い止めるために、東大の先生にお願いして樹脂加工されたのだとか。
家康公を思わせるような体躯とお顔で、立派な鯛を脇がかえにされた堂々たる姿です。
「笑っているような、怒っているような、なんともいえない表情ねぇ」と口々に。
氏子役員の皆さまとても貴重な体験をありがとうございました。

こうしてべったら市を楽しんでいるうちに、あたりは夕暮れ。
夜を迎えますます賑やかさを増した一角をあとに、家路へ。
お天気にも恵まれた、楽しい一日でした。


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10月19日(水曜日) 旧暦九月十七日 先勝 丙子 曇り、時々晴れ

べったら市は雨を呼ぶ、
といわれているそうですが、
(そういえば去年はどしゃぶりでしたねぇ)
今年はここのところ続いた雨も上がり、
雲の切れ間に時折お日様も顔を出し、
市の披かれる寶田稲荷神社のある界隈は大賑わいです。
と、キタイが教えてくれました。

わたくしは、明日、向笠千恵子さんの高島屋セミナーで訪れます。
今日は、べったら市について、池田弥三郎さんの『私の食物誌』から。

 浅づけのさっくりとした歯切れのよさと、あまずっぱい味は、  深みゆく秋の気配を感じさせて東京育ちの者の感傷を刺激する。  なつかしい、東京下町の中秋晩秋の季節感に満ち満ちたたべものだ。  きょうはその浅づけを売り出すベッタラ市の日だ。  (中略)ベッタラ市と言われるのは、べっとりとこうじのついた大根を、  べったら、べったらと呼びながら売ったからだという。  日本橋本町、大伝馬町、小伝馬町といえば、 東京下町の生活気分のもっとも濃厚な地域だが、 そこで、浅づけの大根が売られ始めたというのは、 江戸をとり巻く周辺の農村と、江戸との接触が考えられて、興味深い。

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10月18日(火曜日) 旧暦九月十六日 赤口 乙亥 雨

雨、雨、雨。
そういえば、
高木泉先生が楽しみにしていらっしゃるという
後の月(のちのつき)も見えずじまいでしたね。


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10月17日(月曜日) 旧暦九月十五日 大安 甲戌 雨

新米に、海苔。
という朝ごはんが、一週間ばかり続いています。
しみじみとおいしく、
まったく飽きることがありません。

今日も、秋雨。
高木泉先生より、メール。

忘年会、どうしましょう。

もうそんな季節。
うっすらと色づいてきた庭を見ながら思う。


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10月16日(日曜日) 旧暦九月十四日 仏滅 癸酉 雨、時々曇り

本日、日本橋・京橋まつりの華、
大江戸東京パレード。
生憎の雨で開催が危ぶまれましたが、
なんとか出発することができました。
ここのところ活気づいていた日本橋でしたが、
ちょいと水を差された格好でした。

夜、鎌倉の節子叔母より電話。
しばらくお休みしていた雪ノ下の〈日の丸食堂〉が、
また暖簾を上げたそうです。


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10月15日(土曜日) 旧暦九月十三日 先負 壬申 雨

朝、玄関先で、菊を眺めていたら、
お隣の堀右衛門さんが、ひょいと顔を出す。

「おはようございます、がんこさん。
突然ですが、今晩、お時間ありませんか。
もしよかったら、食事をご一緒にと。
この前は(八月廿日の日記)大変失礼をしたので・・・」

出かけたのは、恵比寿。
駅から歩いて二分ほど、
地下にある〈かつら〉というお店です。

「ここは料理もお酒もおまかせで、
大将も無口でとっつきにくいですが、
季節の素材をいかしたおいしいものを食べさせてくれるんです。
ちょうど、きのこのいいのが入ったということなので」

店内に入ると、目に飛び込んできたのが、
壁際に干してある、からすみ。
わたくしたちの表情に気づいたのか、
「いらっしゃいませ。
すいませんね。普段はこんなことはないんですが」
と、藍染の半被姿の板前さん。

八席ほどあるカウンターの端に、着席。
料理を待つ。

まずは、平目の昆布〆。
昆布出しに薄く芥子を溶いたつけ汁でいただく。
「お醤油だと、せっかくの味がとんでしまいますので」
なるほど。そういえば、カウンターの上には調味料が一切置いてありません。

続いて、焼き穴子を、たれで。
ぱりっとしていて、中はふんわり。
小ぶりで上等な江戸前の味です。

いよいよ、きのこの登場。
岩手から届いたばかりという傘松茸をおもむろに取り出し、
ざくっと切って、しめじと一緒に吸い物に。
「傘松茸は香りが良いので、わざわざ土瓶蒸しにする必要はないんですよ」
香り、歯ごたえとも申し分なし。

城下鰈のひと塩を挟んで、
舞茸と黄金茸(こがねだけ)の天ぷら。
大ぶりの舞茸は信じられないほどさくっと切れ、
黄金茸はしこしこ、育った森が浮かんでくるような味です。

毛がに。
みそをお酒で溶かして甲羅ごと焼いて、
ほぐした身をたっぷりと浸して食べる。
「これは能登の食べ方なんですよ」
「旨い!」と、思わず、堀右衛門さん。

最後は、トロッとしたなめこの赤出汁に、
常連さんのために三日前から煮込んだというカレーライス。

きのこはすべて天然もの。
東北や北陸地方のきのこ採り名人と契約されているそうです。
技は自己流とのことですが、調理も、盛り付けも、
これ見よがしに細工していないところに好ましさを感じました。
無愛想に見える表情も、偉ぶっているふうではなく、
自分の考えをしっかり持っていることのあられかもしれません。
「築地に行くと、魚が買ってくれ、買ってくれーって言うんですよ。
だから、値段なんか、みたこともない」
こんなやり方で、三十年やってこられたそうです。
「ほんと、やりくりが大変なんですよ」と、女将さんが笑います。

お値段がわからないので、
初めての方には不安かもしれませんが、
銀座の半値といったところではないでしょうか。

良いお店でした。
「堀右衛門さん、やりますねぇ。見直しましたよ」
「気に入っていただけましたか。
ああ、よかった。今度、また、からすみ食べにきましょうね」


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10月14日(金曜日) 旧暦九月十二日 友引 辛未 晴れのち曇り

タイちゃんの紹介で、
〈日本橋・にいがた館NICOプラザ〉を訪れ、
マネージャーの市来(いちき)敏則さんにお会いする。
この施設は新潟県内にある企業の首都圏での活動を
応援していくために生まれたものだそうで、
一階はイベントホールでは
ちょうど『秋の新潟魚沼 ゆのたにフェア』が開催中でした。
採れたての新米のほか、お漬物や山菜、きのこなど秋の香りたっぷり。
「おいしいお米はここで、おいしい海苔はお隣の山本海苔店さんで」
とのPRもいただき、タイちゃんも嬉しそうでした。
一足早くオープンした〈にほんばし 島根館〉ともども、
地元の知られざる魅力を発信していけるとよいですね。


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10月13日(木曜日) 九月十一日 先勝 庚午 晴れ

本日も、秋晴れ。神楽坂へ。
久しぶりに〈ラ・ロンダジル〉に立ち寄る。
神楽坂は、いま秋のお祭り「まち飛びフェスタ2005」の真っ最中。

ロンダジルでも、
店内を使ってエリック・ロメール監督の
『愛の昼下がり』を上映しているのだとか。

古い日本家屋に、フランス映画とワイン。
パリに住んでいた時分に、知り合いの古いマンションで、
小津安二郎の『麦秋』を観たことがありますが、
ちょうど逆の取り合わせ。
それにしてもいいセンスですよねぇ。

飯田橋の方へ坂を下り、〈紀の善〉であんみつ。


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10月12日(水曜日) 九月十日 赤口 己巳 晴れ

秋晴れ。
午前中の空いている時間を狙って、〈三井記念美術館〉へ。
415     美術館入口斜め0001.jpg
重厚な館内は、三井家のどこぞをモデルにしたものでしょうか。
茶道具のコレクションはさすがに見事。
仁清作の流釉輪花建水、訴えかけてくるものあり、鳥肌度六。
宇宙を抱えた器といったところでしょうか。

お昼、向かいの〈三井越後屋ステーション〉にて、
〈玉ひで〉の特製親子丼。
列に並んでみたものの、汁気が抜けてしまい期待倒れ。
人形町本店とは比ぶるべくもありませんでした。

午後、家中の窓を開け放ち、風を入れる。

夜、秋の味覚のたっぷりの五目ごはん。


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10月11日(火曜日) 旧暦九月九日 大安 戊辰 曇り

今日もはっきりとしない天気。

鳥越の今井老のお宅まで、新米を届けに行く。
町々の掲示板に、早くも鷲神社の酉の市の知らせ。
早いものです。

「今年は、十二年に一度の酉年の酉の市ですから、
勝幟守・勝札(しょうしまもり・かちふだ)をいただけますよ」
と、今井老が教えてくれました。
無くなり次第頒布終了とのことなので、
一の酉(十一月九日)には、駆けつけなくてはいけませんね。

帰り、大分から届いたというカボスをいただく。


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10月10日(月曜日) 旧暦九月八日 仏滅 丁卯 雨

今朝、新米に海苔。
これまた、天にも昇る、おいしさ。

午後、本日オープンの〈三井越後屋ステーション〉へ。
生憎の冷たい雨模様にもかかわらず、大賑わいでした。
表には越後屋呉服店の看板と暖簾、
カフェには新橋・日本橋界隈の芸者さんも登場して、
江戸時代へ時間移行したようでした。

会場内を歩いていたら、
日本橋界隈の逸品を販売するコーナーでタイちゃんを発見。
「雨なのにすごい人ねぇ。どう?美人海苔、売れてる?」
「いいねぇ、いいよー」
うれしそうなタイちゃんでした。

玉ひで〉の特製親子丼や
塩むすびはあっという間に売り切れだったとか。

こうしたことをきっかけに、
日本橋の良さが見直されるといいですね。


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10月 9日(日曜日) 旧暦九月七日 先負 丙寅 曇り、時々雨

新潟・松之山の佐藤さんより、新米届く。
お礼の電話をすると、
「今年は雨が多くて、味はどっけだろかねぇと
父ちゃんと話してたーでも、なかなか、んめよ」と小母さん。

さっそく二合ばかり炊いて、いただく。
釜の蓋をあけると、ほくほくの湯気の中から、つやつやのお米。
手を合わせて、いただきます。
お伴は、なめこの赤出汁と、秋茄子と大葉の塩もみ。
うん、うん、うん。そのおいしいこと、おいしいこと。

新米にまだ草の實の匂ひかな 蕪村


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10月 8日(土曜日) 旧暦九月六日 友引 乙丑 曇り、時々雨

本日、寒露(かんろ)。いよいよ秋本番。
高木泉先生より、便り。

  祖父方のルーツを尋ねる旅に、2泊3日で行ってまいりました。
  親戚16名、ジャンボタクシー2台で、
  白樺紅葉の美しい長野の森林の中をドライブし、
  戸隠では、茸たっぷりのおそば定食に、林檎の天麩羅もついておりました。
  翌日はまず起き抜けに、横手山ヒュッテに朝食を予約し、
  作りたてのパンとコーヒー卵にお野菜で、ストーブの用意されている、窓際で、
  何重にも重なりあっているアルプスを見ながら、いただきました。
  生涯忘れられない朝食の一つに入るでしょう。
  新潟で3つのお墓参りをすませ、
  帰りは、上高地を抜けて、奥飛騨の新穂高ロープウエイで、
  2156メートルまで、行きました。
  素晴らしい山並みが続くアルプスは秋空に最高でした。
  12人の兄妹を持つ母は、今、4人になってしまいましたけれども、
  私達孫たち、ひ孫達で繋がっている幸せをつくづく感謝いたしました。
  家族は、多い方が楽しいですね。

先生のおじい様は、日本で初めてドライクリーニングを開発し
〈白洋舎〉を創業された五十嵐健治さん。
三浦綾子さんの著書『夕あり朝あり』(新潮文庫)は、おじい様の伝記です。


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10月 7日(金曜日) 旧暦九月五日 先勝 甲子 曇り

イッテツと、中央通りを歩く。
明日は、〈三井記念美術館〉のオープン。
明々後日は、〈三井越後屋ステーション〉のオープンということで、
三井の方々は、みなお忙しそう。
415bijyutu.jpg 413echigo.jpg

「連休から、十九日のべったら市まで、
賑やかになりそうですなぁ」と、イッテツ。

鎌倉に叔母に電話。
おとつい買った謡本と、三井の美術館のことを知らせる。
「卯花墻(うのはながき)に、
応挙の雪松図屏風でしょう。見たいわねぇ」


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10月 6日(木曜日) 旧暦九月四日 赤口 癸亥 曇り、雨模様

広島より、友あり。
なんとかの学会とかで、お土産だけ置いていきました。
momiji.jpg

イッシーさんより、

秋も深まるにつれ、台所に立つ時間も増えてきます。

との便り。

「ほんとうにそうですねぇ。
素材がみなおいしそうに見えて、
つい作り過ぎてしまいます」と、キタイ。

蛸のあら塩、
自家製さつま揚げ、
蕪と秋鮭のきのこあん、
菊の花の酢の物、
煮豆、
柿。


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10月 5日(水曜日) 旧暦九月三日 大安 壬戌 雨

鎌倉の節子叔母に頼まれた謡本を買いに、
神田の〈檜書店〉へ。

ついでに古書店を何軒か回っていたら、三時。
昼食には遅く、夕食には早過ぎ。
こんなときには、お蕎麦にかぎる。
というわけで、〈かんだ やぶそば〉へ。

雨降りの午後のせいか、
店内にお客様は四組ほど。
みんなにこにこと幸せそう。
なんだろう、この懐かしさ。

「せいろー、いちまーい」
お内儀さんの声、いいなぁ。

雨に濡れる庭の緑を見ながら、
半時ばかり過ごし、久しぶりなので界隈を歩く。

甘いもの処の〈竹むら〉、鳥すきの〈ぼたん〉、
体験道でお世話になったあんこうの〈いせ源〉、
おそばの〈まつや〉。
むかしの建屋にのれん、ほんわりと点る灯り。
ああ、世界遺産にしてあげたいくらい。

『半七捕物帳』の世界を
感じることのできる東京は、
もうほんのわずかしかない。


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10月 4日(火曜日) 旧暦九月二日 仏滅 辛酉 曇り、時折雨まじり

パリの恵子ちゃんより便り。*彼女は、この日記の中でこれまでエミちゃんとして登場しておりましたが、本名はパリス恵子といいます。パリに住む、パリス恵子。伏せておくには余りにも素敵な名前なので、今回より本人の了承を経て本名で紹介することにします。

先週は、某前衛的デザイナーの ニューヨークでの新しいレストランオープンのためのポスターに、 振袖の貸し出し、着付けの仕事で、2日間撮影に付き合い缶詰め状態でした。 とても面白かったけど、着物姿の女性をこんな風に見ているんだ へえー(夢見すぎでないの??)という感じも無きにしも非ず。でした。 添付の写真は1日目のものです。2日目のものはありません。 なぜなら2日目の撮影は、着物を着るというよりも お尻または胸の半分を隠すための小道具にしか使われていなかったためです。

こういった芸術的な写真が
畳2枚分くらいの大きさの写真になって
ニューヨークの街角を飾るらしいです。
メイキングの様子も今流行のメイキングオブにまとめられて
レストラン内で流れるんですって。
このモデルさんはとてもきれいな人でした。
もちろんお友達になってもらいましたので(着物が大好きですって)
日本橋の皆さんがいらっしゃるときにも遊びに来てくれるかもしれませんよ。

そして土曜日は、9月10日以来毎週最低2件の結婚式の着付けに周っています。
やはり結婚式に日本人女性の着物姿は、美しいし、とても歓迎されています。

そうそう春にマダムバタフライのパロディーで
赤い着物を着てくれたおじ様、覚えてる?
彼が9月28日から始まったミュージカル(屋根の上のバイオリン弾き)の主役でね。
昨日の夜に家族で呼ばれてきました。
すばらしかったです。
ブラボーの連呼でカーテンコールも3回、
こんなに有名な人だったなんてぜんぜん知りませんでした。


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10月 3日(月曜日) 旧暦九月一日 先負 庚申 晴れ

高木泉先生より、秋便り。

葡萄、大根、山とう菜、ずいき、など 秋野菜を山ほど買い、山中湖へ。 いよいよジャム、お漬物など仕込みます。 湖は、紺碧色、空気は澄み、 コスモスが一番綺麗で湖畔を一層美しくしています。 山女、落ち鮎、も美味しく満足でした。


午後、隅田川まで出たついでに、鳥越の今井老のお宅へ立ち寄る。
手土産に、〈日本橋長戸〉のお菓子。

「これは、これは、結構なものを。
早速いただくことにしましょう。ばあさん、お茶、お茶」
三人、縁側で、ひと時過ごす。

帰り際、

「そうだ、前から言おうと思っておったんですが、
がんこさんは、こんなものは読みますかね」

今井老人、奥の部屋に入り、なにやら持ってきてくださいました。

「あ、『半七捕物帳』だ」と、わたくしより先にイッテツの手。

「さすが、イッテツくんは、よくご存知だ。
東京の昔のことを知りたかったら、この本はきっとお役に立ちますよ。
揃いでありますから、よかったら差し上げます」

というわけで、読み始めることになった
岡本綺堂作の『半七捕物帳』の、なんという面白さ、新鮮さ。
なのですが、その話は、追々と。


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10月 2日(日曜日) 旧暦八月廿九日 赤口 己未 晴れ

東京は日中三十度を超える暑さ。

午後、先日イッシーさんが教えてくださった
「梨とベーコンのスウィーツ」を拵えてみる。
ラフランスのかわりに二十世紀梨、
シロップのとろみを出す片栗粉を葛で代用してみました。
梨とベーコンをそれぞれ炒めて、
氷砂糖を入れて蒸し器へ。
出来上りにシロップをかけていただく。
くどくなくさっぱりとした甘味が広がる。
ベーコンのかりかりと梨の柔らかさも結構な相性でした。

夜、『月刊日本橋』『日本の老舗』『味覚春秋』
それぞれの新刊に目を通す。
暑かったせいか、小さな羽虫が、
電燈のまわりを飛び交う。


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10月 1日(土曜日) 旧暦八月廿八日 大安 戊午 晴れ

神無月初日、
今日も気持ちの良い秋晴れ。
久しぶりにゆっくりと日本橋を歩く。
本通りと脇道を行ったり来たりしながら、
気の向くままに暖簾の内へ。
お店の方とちょっとした言葉を交わす。
これがまたなんとも楽しく。ついつい・・・

〈にんべん〉さんでは、キタイから頼まれた本枯鰹節を。
〈鮒佐〉さんでは、今が旬だという、はすの佃煮。
〈神茂〉さんでは、本店限定の、彩りはんぺん。
〈玉英堂〉さんでは、名物のとらやき。
〈さるや〉さんでは、辻占楊枝というおもしろい楊枝を見つけ、思わず買ってしました。
楊枝の一本一本に、小唄や都都逸からとった占いの書いた紙が巻かれているのです。
「シャレてますねぇ」と、イッテツも大喜び。

途中、お昼を食べに立ち寄った〈利久庵〉では、
三十代のカップルが、板わさをつまみにビール。
「こういうのもいいわねぇ」
ちょっと微笑ましくなりました。

わたくしが歩き始めたころの日本橋、
土日は人通りも少なく場所によっては閑散としていたものでしたが、
コレドができ、三井タワーができ、だいぶんに変わってきたようです。
今月十日には、三井本館の前に
〈三井越後屋ステーション〉という街づくりの新しい拠点もできるとのこと。
むかしといまが溶け合う、
日本橋の魅力が再発見されると良いと思います。


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