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| 9月30日(火) 旧暦:九月五日 先勝 丙午 晴れ 十月も今日でおしまい。午後、神田のすずらん通りをのんびり歩く。古書店に入り料理関係の本など何冊も手にとって頁を開いてみたものの結局何も買わずに、夕暮れ時となる。少しお腹が空いたので靖国通りに出て淡路町の〈神田まつや〉へ。昔ながらの引き戸を開けると、テーブルはほとんど一杯。入り口そばの席に座り、小瓶で板わさをいただいたあとに、もりを注文する。お蕎麦はかどがしゃっきと立って弾むようなコシ。つゆがまたなんともいえない味わいで、最初口にしたときは甘く感じるもののくどくなく、味がすうっと奥まで伸びていく。それにしてもほんとうに良いお店ですね、ここは。何より「老舗の蕎麦屋でございます」なんぞと気取っていないところがいい。街の定食屋さんのようにテレビまで置いてあったりして、接客係の女性も気さくで気持ちのこもった丁寧さ。近くにある〈神田藪蕎麦〉とはまた違った意味で、いまを生きる蕎麦屋という気がします。お客さまの楽しく満足げな表情を見ればそのことがよくわかります。 |
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| 9月29日(月) 旧暦:九月四日 赤口 乙巳 晴れ 電話をかけたり、かかってきたりという日でした。話をしすぎてちょいとばかし疲れました。夕方、散歩。キタイがこしらえてくれたロールキャベツが身体にしみておいしい。山本さんよりアルゼンチンに無事到着とのメールあり。向田邦子さん『父の詫び状』読了。 |
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| 9月28日(日) 旧暦:九月三日 大安 甲辰 晴れ 秋晴れの良いお天気。イッテツと近所に散歩に出かけたら、小学校のグラウンドでソフトボールの試合をしていました。一塁手、どこかで見たような後ろ姿だと思ってみていたら先日開店したラーメン屋さんの若主人ではありませんか。そういえば玄関先に「チーム一同より」という開店祝いのお花がありましたっけ。ベンチに戻ってきたところをネット越しに声をかけると、チームメンバーの板前さんが親方から独立して故郷で店を持つことになり、壮行試合をしているのだとか。「急がないんだったら、応援してやってくださいよ」と言ってくれたのでベンチの後ろで見ていると、同点の最終回にその板前さんがサヨナラホームランという劇的な終わり方でした。大の大人が顔をくしゃくしゃにして盛り上がっちゃって、まあ。なんだかちょいと羨ましくなりました。陽が暮れてから、キタイを手伝って夕食の準備。里芋の挽肉あんかけをつくる。 |
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| 9月27日(土) 旧暦:九月二日 仏滅 癸卯 晴れ 夕方、『マーノ・ア・マーノ』というNPOを立ち上げて活動されている山本幸達・みち子ご夫妻をお招きして会食する。マーノ・ア・マーノは日本語で『手と手』という意味で、その名前のとおりお二人はアルゼンチンとパラグアイを中心とする南米と日本を行き来しながら両社会を結ぶ様々な活動をされています。幸達さんは商社に勤務されていたときにアルゼンチンに赴任し、日系二世のみち子さんと知り合ってご結婚されたのですが、そのきっかけとなったチョリパンという食べもののことなどをお聞きし、楽しい時間を過ごすことができました。ご夫妻は明日の夜、パラグアイに完成した小学校の竣工祝いに出席するため旅立たれます。現地から届いたビデオを拝見させていただきましたが、真っ白なきれいな校舎で子供たちが目を輝かせていました。 |
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| 9月26日(金) 旧暦:九月一日 先負 壬寅 曇り 朝ご飯を食べた後、新聞に目を通して、パソコンの前に座ってメールと管理者画面を見るというのが、このホームページを立ち上げてからのわたくしの朝の日課になっています。会員名簿を見て新しいお名前を加わっているときや会員の方からメールが届いているときはやっぱり嬉しいものです。今日は七十代の男性が新しく会員になってくださっていました。画面ではお住まいとか性別とか限られた情報しかわかりませんが、お名前を拝見しながらその方のあれこれを想像するのも楽しいものです。一体、どんなふうに齢を重ねてこられたのだろう。パソコンはどうやって覚えたのだろう。どんな懐かしい味や思い出の味をお持ちなのだろう。おいしいものはお好きなのかしら。ご年配の方にはつい想像もふくらみがちになります。本日、彼岸明け。 |
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| 9月25日(木) 旧暦:八月廿九日 赤口 辛丑 曇り後、雨 俳句庵に、今月の句会で選ばれた作品を飾りました。今月の季題は、新米。スーパーなどにもそろそろ出回りはじめたようですが、一足早く俳句の方で味わってみてください。鈴木榮子先生のひねりのきいた選評もお楽しみに。外は生憎の雨、足元には十分お気をつけて。 |
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| 9月24日(水) 旧暦:八月廿八日 大安 庚子 曇り、後雨 会員の方から、「ホームページで紹介されているおいしそうな料理を食べてみたいのですが、どのように申し込みすればいいのでしょうか」といった内容のメールをいただきました。いずみ先生の料理のことだと思われますが、残念ながらいまのところ先生の料理を味わうにはご家庭でこしらえていただくしかありません。でも、わたくしも以前からいずみ先生の料理を直接味わっていただく機会をつくれたらよいなと思っています。遠くない将来に体験道として実現できるかもしれませんので、ご期待ください。夕方、振り出した雨の中をイッテツと散歩に出かける。夜、叔母から「ごめん、イヤリングを忘れてきたみたい。鏡台か洗面台の上だと思うんだけど見てくれる」と電話。探していると「あった、あった。ちゃんとしまってあったわ」こんな叔母が、わたくしのこの世にひとりしかいない血のつながった人なのである。 |
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| 9月23日(火) 旧暦:八月廿七日 仏滅 己亥 晴れ お彼岸の中日。朝から気持ちの良い秋晴れ。伯母と一緒にゆっくり朝食をとり、十時頃に家を出て、雑司が谷へお墓参り。霊園内のそこかしこに真っ赤な彼岸花が花を咲かせていました。帰りは護国寺の駅まで歩いて、有楽町線で銀座へ出る。五丁目の竹葉亭でお昼をすませ、銀座通りを新橋駅まで歩いて伯母を見送る。陽が傾くと肌寒さを感じた秋分の日、日光で初氷。 |
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| 9月22日(月) 旧暦:八月廿六日 先負 戊戌 曇り 午後、鎌倉より節子伯母来る。夕食には、キタイが秋の味覚をたっぷり盛り込んだ懐石風の膳をつくってくれました。伯母はとくに煮物の味付けが気に入ったようで、「いいお出汁、やっぱり家に料理人がいるっていいわねぇ。うちに来てくれない」と、キタイを困らせていました。伯母がこの家を訪れるのは十数年ぶりとかで、とても懐かしいふうでした。 |
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| 9月21日(日) 旧暦:八月廿五日 友引 丁酉 雨風強し 台風の直撃はまぬかれたものの、朝から荒れ模様のお天気。南側の雨戸は閉めたままにして、一日中家で過す。祖父が遺してくれたこの家はかれこれ築百年を超えていると思いますが、よほど造りがしっかりしているのか大概のことにはびくともしません。こういう日、雨風が家を叩く音を聞きながら居間のソファに座って本など読んでいる気分はわるくないものです。 |
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| 9月20日(土) 旧暦:八月廿四日 先勝 丙申 曇りのち雨 地震あり 彼岸入りの今日。生憎と西から台風が近づき、午後からは荒れ模様のお天気でした。昨日までの蒸し暑さはどこへやら、気温もぐっと下がり、肌寒いほど。暑さ寒さも彼岸までとはうまく言ったものです。夜、バイヤーをしている友人のシンキチくんから久し振りに便りが届く。先週は〈久保田〉の蔵元 朝日酒造さんの見学会に行ってきたそうです。「新潟県三島郡越路町にある蔵は見上げるほどの巨大さで、日本の銘酒〈久保田〉のイメージとはかけ離れた近代的な設備でした。でも杜氏の木曾健太郎さんの話を聞いていると随所に人の手が入らないと酒がうまくならないことが良くわかりました。温度管理でも近代的な醗酵タンクの脇には昔ながらの木でできた筒があり、これに冷水を入れて、タンクに沈め、温度を下げて醗酵を抑えるのですが、なぜかこの方法でないとうまく調整できないとか。この加減がコンピューター管理でないのが日本酒らしいです。ところで、がんこさん。蔵元のお餅を食べたことありますか?日本酒は米からできるので、もちろんお米を炊くのですが、この時に炊いたお米で餅を作るのがどこの蔵元でもいわゆる漁師飯みたいなもので、あたり前にあるそうです。形は丸いのが一般的ですが、朝日酒造ではひょうたん型に作ります。手でこねて作るのですがこれがまたきれいにひょうたんの形です。八海山の蔵元にお邪魔した時はあわ汁をいただいたのですが、これが粕汁の酒粕の代わりに醗酵してぶくぶくと沸くあわを竹ぼうきで漉くったものを入れるそうです。酒粕より上品な感じです。最近は蔵元が酒つくりに使う仕込み水を商品化して売るところが増えています。物造りの現場でしか味わえないものが、身近になることは嬉しい反面、やっぱり現地でしか味わえないものも残って欲しいです」シンキチくんが時折届けてくれるメールは、時折食いしん坊が顔を出してとっても好きなのですが、ひとつ気がかりなことが書かれていました。「今年は新米の動きがとても不安定で、米を扱うバイヤーのもとには次々と出荷延期の報が届いているとか。農家もより高値をつけるため、出荷をあえてしないようです」やはり心配していたようなことが起こっているようです。 |
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| 9月19日(金) 旧暦:八月廿三日 赤口 乙未 晴れ 今日も日中は三十度を超えたそうです。連日の暑さにイッテツもまいったのか、散歩の途中で時折舌を出して休んでいました。さて、俳句庵よりお知らせです。十月の句会の季題「松茸」は昨日で締め切らせていただきました。十一月の季題は「白菜」です。この暑さで白菜といわれても真冬にかき氷のことを考えるようでなんとも無粋ではありますが、気分を晩秋モードにして一句お寄せくださいませ。 |
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| 9月18日(木) 旧暦:八月廿二日 大安 甲午 晴れ 今日、日本橋の〈たいめいけん〉でお昼を食べました。おじい様がまだ元気だった時分に来て以来だから、ほんとうに二十年振りくらいです。おじい様はこの店のライスカレーが大の好物で、よくお伴をしたものです。かっちりとして、でもなんだか落ち着けるテーブルと椅子に座って、カニクリームコロッケとスープとコールスローを注文したら、昔の記憶が段々と蘇ってきました。入り口の木の引き戸の端っこの部分が年月分だけ擦り切れた以外は変わりのない雰囲気。代が変わったと聞いたけれど味の方はどうかしらと思って、出てきたコロッケを一口。とろりと溶ける。そうそうこの味、添えられた手作りのマヨネーズとペンギン印のソースとの相性もぴったり。食べながら思わずにこにこしてしまいました。空いたテーブルが十秒ともたぬほど昔と変わらぬ繁盛振りでしたが、急かされることもなく、とても懐かしく幸せなひと時を過ごすことができました。 |
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| 9月17日(水) 旧暦:八月廿一日 仏滅 癸巳 晴れ ちょいとわけあって、新宿伊勢丹にお総菜のお店とお弁当屋さんの観察に出かけてきました。十二時を少し回った頃に地下にもぐると、そこはデパ地下という食世界、都市の巨大なキッチンでした。入り口に近いお惣菜のお店などはサラダだけで十種類以上もあって、じゃんじゃか売れていく。たしかにどれもこれもおいしそう。我が家にはキタイという料理人がいてくれるので、めったなことでは外でお惣菜を買ったりはしないのですが、これだけバラエティかつ充実していると、ご飯だけ炊いておかずはデパ地下でという家庭がますます増えていくのでしょうね。昔、アメリカ映画を見たときにどこの家の台所もいつもぴかぴかにきれいで、どうして我が家のように野菜のきれっぱしや油が飛び散っていないのかと不思議に思ったものですが、日本の台所もそのうちにつるっとした住宅展示場のまんまの生活感のないものになっていくような気がします。人あたりをして少々疲れ、気持ちもへなへなして家に帰ると、台所からキタイがひじきを煮る匂い。やっぱりこっちがいいなぁ。 |
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| 9月16日(火) 旧暦:八月廿日 先負 壬辰 曇り パリのエミちゃんから久しぶりにメールが届く。あちらでは新学期も始まり、子供たちも元気に学校に通っているとか。彼女は日仏交流のいろんなお手伝いをしているのですが、二年前の能楽のユネスコ公演以来、京都の片山家とお付き合いするようになり、先日もドイツのボン公演に招待されて観能と打ち上げパーティーに出席してきたそうです。鎌倉の節子叔母に電話をしたらちょいと悔しそうでした。過ごしやすい夜、『霊長類ヒト科動物図鑑』読了。 |
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| 9月15日(月) 旧暦:八月十九日 友引 辛卯 晴れ この三連休、東京は下町も山の手もあちらこちらで秋祭り。前から行きたいと思っていた神楽坂に足を運んでみることにしました。地下鉄の市ヶ谷駅を降りてすぐに外堀を渡り、左内坂へ。半分迷いながら歩いているといつの間にか牛込中央通りに出ていました。御神輿を見ながら、牛込北町の交差点を右に折れ、しばらく行くと神楽坂上で、こちらも賑やかな祭囃子がひゃらひゃらり。通りを歩きながらふっと左に入ると、そこが神楽坂の路地。昔ながらの板塀と手入れが行き届いた扇形の石畳(朝にはきっと打ち水がされるのでしょうね)。光の具合で影がさっと差したり、ふわりと細部を浮かび上がらせたり、なんとも陰翳礼讃している路地なのです。所々にあるお店も全体の調和を乱さないように配慮されつつ、しっかりと個性を主張している。いいなぁ。もっと早く来ればよかった。何度も行き来しているうちに、かくれんぼ横丁に本日オープンの店を見つけました。古い割烹旅館の建物をいかしたお店ということですが、五時の開店に向けて厨房から流れ出てくる仕込みの音が心なしか緊張しているようでした。今日は時間がありませんでしたが、今度来てみることにしましょう。『紺屋』というお店です。二時間ほど神楽坂をゆったりとした後、早稲田通りに出て、穴八幡宮へ。お祭りで賑わう境内を抜け、お参りをして帰る。よく歩いた一日でした。夜、テレビをつけると道頓堀川に若者が飛び込んでいましたが、わたくしはそちらより野茂投手がマウンドに帰ってきてくれたことの方がうれしい。 |
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| 9月14日(日) 旧暦:八月十八日 先勝 庚寅 晴れのち曇り 知り合いに、新入社員の採用試験に掃除をしてもらうという会社の社長がいます。床を掃除したり、ごみ箱をきれいにしたりするのはあたりまえで、机の裏まで雑巾をかける人を採用するのだそうです。「仕事は目配り、気配りが大事。机の裏まで気が付くようなら、大体間違いない。人間、何気ないことで性格がわかるものですよ」と彼は言います。わたくしも同じようなことを書店で感じることがあります。単行本でも、新書でも、文庫でも、カバーをかける時、本のサイズとカバーの大きさがちょうど良い具合にならないとどうにも気持ちが悪い。本よりカバーが大き過ぎてだらしのない高校生のズボンのようにぶかぶかになっていたり、逆に小さ過ぎてカバーが内側から三角にはみ出ていたり。そういうことが平気でできる人は性格もやはり無神経な気がする。対して、カバーを本のサイズにぴたりとかけてくれる人は細やかな気持ちの持ち主のように感じられます。つまり、本のカバーのかけ方で性格がわかると、わたくしは勝手に思っているわけですが、今日神保町で入った古書店の若い女性の店員さんは、本とカバーの具合がきちんと折り目正しく、しかも見惚れるほど素早かった。おかげて気持ちよく散歩ができました。 |
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| 9月13日(土) 旧暦:八月十七日 赤口 己丑 晴れのち曇り 今日も暑い一日。どこへも出かけずに、夕方からキタイと一緒に晩御飯をつくる。わたくしの担当は、たっぷりとした秋茄子を使った酢の物と中華風に具がたくさんのった冷奴。キタイは昨日秋刀魚と一緒に仕入れてきた鰆を切り身にして柚子風味のたれに漬けたのを焼いたものを。暑さがぶり返しても、自然の食べものは確実に秋を感じていてだんだんとおいしくなっていくのがわかります。眠る前に向田邦子さんの著書を少しずつ読み直しています。今日から『霊長類ヒト科動物図鑑』をめくり始めました。角がすぱっとしたお蕎麦のような、清々しい文章が羨ましい。和子さんとの対談は、新潮社の方からまだ連絡をいただけません。待ち人来たらずの心境です。 |
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| 9月12日(金) 旧暦:八月十六日 大安 戊子 晴れ 朝起きて窓を開けると、西の空に油絵の具で描いたような大きな入道雲。どうやら今ごろになって太平洋高気圧が張り切りはじめたらしい。まったくねぇ、もう張り切らなくていいのに。暑い中、キタイは朝からゴム長をはいて築地に買出し。下北沢でお店をやっていた時分の馴染みの仲買いさんから「たまには遊びにおいでよ」と電話があったとのこと。お昼少し前に汗をふきふき帰宅。買出し用の籠の中から新聞紙に包まれて尻尾が見えていた秋刀魚が、夜、蒲焼になって食卓に上りました。秋刀魚はお醤油でジュッが舌品(ぜっぴん)だけれど、蒲焼もなかなかよろしいものです。 |
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| 9月11日(木) 旧暦:八月十五日 仏滅 丁亥 晴れ さいと町商店街の、むかしお茶屋さんだったお店がラーメン店に商売替えされてオープンしたので、キタイを誘ってお昼を食べにいきました。女将さんに話を聞くと、都内の有名なラーメン店に修業に出ていた息子さんが帰ってきたのだとか。「お茶屋ではなかなかね・・・」とちょっと淋しそうでしたが、お客様は一杯。さっぱり系のスープに焼き葱がのったなかなかのお味でした。今日は、十五夜。夕暮れ時、深川からの散歩の帰りに新大橋を渡っていると、芭蕉庵の方から大きな月が昇ってくるところでした。夜のニュースで9.11の特集。世界を変えたといわれるあの事件からもう二年が経ちます。世界はほんとうに変わったのかな。蒸し暑い夜の底にて。 |
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| 9月10日(水) 旧暦:八月十四日 先負 丙戌 晴れ 午後、ホームページの企画運営スタッフの月例会。八月はヤフーの新着情報に紹介されたこともありアクセス数はとても伸びましたが、入会していただけた方は前月とほとんど変わりませんでした。やはり会員になるメリットをあまり感じていただけないようです。なかなか難しいものですね。でも最近は関東地区に限らず、東北、関西、九州といろんな地域の方々が会員になってくださっています。今日も福島県の方から入会申し込みがありました。いまそういう方々と何か一緒にできないかなと考えているところです。久し振りにタイちゃんと会って、銀座へ出て夕御飯を一緒に食べる。 |
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| 9月9日(火) 旧暦:八月十三日 友引 乙酉 晴れ 作家の東理夫さんに電話。ホームページのことでいろいろと相談に乗っていただく。「僕が知っている人たちならいつでも紹介してあげるから」となんとも有難いお言葉。昨日は高木泉さんからも電話をいただき、「何かの時に役に立つかもしれないから」と相模原にある知り合いの蜂蜜屋さんを紹介してくださった。お二人ともこのホームページのことを面白がってあれこれと気にかけてくださっている。それにしても人生の酸いも甘いも経験された方々とお話するのはとても楽しい。人は成熟していくほど若くなる、というヘルマン・ヘッセの言葉はほんとうだ。夜、硝子戸の中から大きな月と、その月にえくぼのように寄り添うオレンジ色の火星が見えた。灯りを消して、しばらく眺める。庭の草薮から蟋蟀の声。 |
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| 9月8日(月) 旧暦:八月十二日 先勝 甲申 晴れ 会員の皆さんに久し振りにお便りを書くもサーバーの具合が思わしくなく送れずじまい。筆不精を叱られたようで反省しました。今日は二十四節気のひとつ、白露(はくろ)。大気が冷やされて草の葉に白い露となってたまり始め、この頃から秋が深まっていくといわれています。薄手の長袖シャツを着て散歩に出かける。 |
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| 9月7日(日) 旧暦:八月十一日 赤口 癸未 曇り後晴れ 一昨日の散歩からイッテツは向島がすっかり気に入ってしまったようです。たしかにこの辺りは、名人の手がけた漆器のように一昔前の歴史の香りが街全体に塗りこめられているような気がします。今日は桜橋を渡って長命寺にお参りし、言問団子で一休み。名物の三色団子は上品でいながら、ほんの少し野趣を帯びた味がなんとも言えません。ヴェネティア映画祭で北野武さんが監督賞を受賞。北野さんを見ていると、(ある作家が書いているように)才能とは他人より何かが余分にあるのではなく、何かが欠落しているのだということがよくわかります。 |
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| 9月6日(土) 旧暦:八月十日 大安 壬午 晴れ 暑い一日。夕方、散歩から帰ってテレビをつけると、『ポカポカ地球家族』という番組をやっていました。その中で流れたネスカフェのコマーシャルがとても印象に残りました。朝焼けの空を背景に、谷川俊太郎さんの「朝のリレー」という詩が朗読される静かな静かなコマーシャルですが、じっと聞き入ってしまいました。表面を賑々しく飾られただけのからっぽなことが大袈裟に語られることが多い時代で、人の魂に直接触れることのできる詩人の直感と言葉はとても貴重です。 |
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| 9月5日(金) 旧暦:八月九日 仏滅 辛巳 晴れ 「美しい味をつくる」が新しくなりました。今月のいずみ先生は、新米を季題に〈銀杏ごはん〉と〈桜海老ごはん〉の二品をつくってくれました。先生からの伝言で、お味だけでなく彩りも楽しんでくださいとのこと。今年の新米は、少しばかり高くなりそうですがぜひお試しください。「桜海老ごはんで、大根の葉っぱを使うというのがよいですね。新米が届くのがますます待ち遠しくなりました」とキタイも顔をほころばせていました。 |
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| 9月4日(木) 旧暦:八月八日 先負 庚辰 晴れ 午前中、さいと町の図書館へ。向田邦子全集の二巻目を借りる。「一巻目はないの?」と訊ねると、借り出されたまま返ってこないのだと言う。ここに限らず図書館にある全集というものは、一巻目のないことが多い。一巻目の抜けた全集は、映画を途中から見るようでどうにも座りがわるいものだ。借りた人はきちんと返しましょうね。気持ちの良い夕暮れの中、隅田川を東岸に渡り向島辺りを歩く。空に半月がすっきりとした表情で浮かぶ。いつの間にか日がすっかり短くなった。 |
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| 9月3日(水) 旧暦:八月七日 友引 己卯 晴れ、夕方雷雨 パソコンのメール機能が壊れてしまい、一日かけてようやく修復しました。機械に振り回されてしまい、おまけに雷雨で散歩にも出かけられず散々でした。夜、新潮社に向田和子さんの取材依頼の件で電話。このサイトの主旨をまとめた企画書と実際のページを見てご検討いただいた結果、向田さんに対談の話を勧めてくださるとのこと。ほっ、いい一日のおしまいでよかった。お会いするまでに向田邦子さんの本を読み直しましょう。 |
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| 9月2日(火) 旧暦:八月六日 先勝 戊寅 曇り 本日、会員の方から大変楽しいメールをいただきました。お名前は、元子(ちかこ)さん。呼び名こそ違え、わたくしと同名で、これまたわたくしと一緒で子供の時分から「がんこちゃん」と呼ばれてきたのだとか。ご本人によりますとなにやら性格も似ているようで、他人とは思えずメールをくださったということです。どうもありがとうございます。元子さんは月島にお住まいで、散歩をしながらおいしそうなお店を見つけるのが大好きということですが、美しい味くらぶ月島方面特派員に指名させていただいてもよいですか?というのは半分くらい冗談としても、またぜひお便りをお寄せくださいね。 |
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| 9月1日(月) 旧暦:八月五日 赤口 丁丑 曇り 今日は、立春から数えることの二百十日。台風が発生しやすく昔から農家の方々にとっては厄日なのだそうですが、今年は夏が丸ごと厄になってしまったようで散々でしたね。北の方は戦後三番目の冷夏だったとか。「新キャベツが出ていたので浅漬けにしてみましたが、ちょいとばかし固いですね」とキタイ。 |