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| 11月30日(火) 旧暦:十月十九日 仏滅 癸丑 曇り 寒い朝。北の方より、雪の便り。庭の木々も、紅の深みを急に増したようで、いよいよ、冬の気配。 |
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| 11月29日(月) 旧暦:十月十八日 先負 壬子 晴れ パリのエミちゃんから、「ホームページのがんこ海苔缶、欲しい」とのメールあり。ふふふ |
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| 11月28日(日) 旧暦:十月十七日 友引 辛亥 晴れ 夜。イッシーさんが教えてくださったイタリアすき焼きを試してみることに。ちょいと上等な牛肉を用意して、レシピの通りに粛々と。オリーブオイルをひいたすき焼き鍋でにんにくとトマトを炒め、割り下、牛肉、玉葱、ぐらぐらきたらバジルをたっぷり目に振りかけて、出来上がり。こんもりと彩りもきれいなすき焼きを、早速二人でいただきます。「うーむ。砂糖と卵を使わないで、どのような味になるかと思いましたが、さっぱりとして、これはおいしい」「ほんとにねぇ、肉の重さが消えて、旨さだけが残る感じね」仕上げは、残った煮汁にニョッキをからめて。ご馳走さま。イッシーさん、ありがとう。 一杯のお腹を抱えて、庭へ出る。空に、白々とした満月。 |
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| 11月27日(土) 旧暦:十月十六日 先負 庚犬 晴れ キタイを誘って、晩秋の谷中から上野界隈をのんびりと歩く。キタイを朝倉彫塑館に(墓守のブロンズは、どこかしらキタイに似ている)案内した後、夕焼けだんだんを降りて、商店街。さんさき坂の〈いせ辰〉さんでは、早お正月のぽち袋を求める人たちで大賑わい。上野桜木町から言問通りを進み、銀杏葉降り積もる寛永寺の境内へ。日の暮れるのを待ちて、根岸〈笹乃雪〉の暖簾をくぐる。湯豆腐。 |
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| 11月26日(金) 旧暦:十月十五日 赤口 己酉 曇り 今日は、三の酉。むかしの人は、酉が三まである年は火事が多いなどと言ったそうですが、いま多いのは人心が荒廃した事件ばかり。社会面の半分ほどもが殺伐とした事件で埋められてしまうような世の中は、決して豊かとはいえません。 |
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| 11月25日(木) 旧暦:十月十四日 大安 戊申 晴れ、のち曇り 夕方、炬燵で蜜柑を食べていたら、子供の頃はどうしてあんなにたくさん蜜柑を食べることができたのだろう、手が黄色くなるくらいまで、とそんなことを急に思い出しました。二十年位までの蜜柑は、すっぱかったけれど、おいしかった。 |
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| 11月24日(水) 旧暦:十月十三日 仏滅 丁未 晴れ イッシーさんより、おいしいお便り。友人に乞われて、すき焼きパーティとのこと。レシピも一緒に送ってくださったので、おすそ分けいたします。ちょっと驚きのレシピですよ。なんといっても、徳島「青柳」の小山裕久さんのご家庭で教わったという「イタリアすき焼き」と、作家の宇野千代さんのお宅でご馳走になったという「極道すき焼き」ですから。「美しい味を伝える」で紹介していますので、ぜひご覧になってください。我が家でも週末に拵えてみようと、キタイと話しています。イッシーさん、ありがとうございます。 それにしても、イッシーさんのお便りには、毎回驚かされます。一体どういう方なのでしょう。想像するも、また楽しくて・・・ |
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| 11月23日(火) 旧暦:十月十二日 先負 丙午 晴れ 勤労感謝の日。新潟の地震から、今日で一ヶ月。昨日の余震のことも気になり、松之山町のSさんに電話。ちょうど大根の収穫を終えて帰られたところで、元気なご様子でした。農家の皆さんがとれたもち米をJAに持ち込んでつくるお餅の生産が始まったようで、「へー、おらがんも、できたら送るすけ(うちのもできあがったら送りますよ)」とのこと。いつもありがとうございます。 |
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| 11月22日(月) 旧暦:十月十一日 友引 乙巳 晴れ 午後、隅田川へ出て、待乳山の聖天様にお参り。寒暖の差のある日が続き、ここいらあたりの木々もだいぶん色づいてきました。 夜、今秋初の鰤。「築地の方でも、油の乗った上等なのが出回ってきましたね」とキタイ。皮ぎしがぱりっとするくらいに焼いて、油がたっぷりと染み出してきたところへ、大根おろしをばっとやり、レモンを添えて。 |
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| 11月21日(日) 旧暦:十月十二日 先勝 甲辰 晴れ 気持ちの良いお天気、由比ガ浜の鎌倉文学館まで、先日行けなかった星野立子展を見に行く。わたくしには俳句を文学的な見地から述べるようなことはできないのですが、立子さんの句からは、深い森の中を流れる岩清水を汲み取って口に含んだような、そんな感じがしました。うまく言えなのですが・・・。 夕刻、さいと町へ帰る。 |
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| 11月20日(土) 旧暦:十月十三日 赤口 癸卯 朝、節子叔母から電話があり。「ちょいと来ない」という誘いありて、鎌倉へ行くことに。夕六時、駅前で待ち合わせて、「今日は、おばあちゃんのところに行くことにしましょう」という叔母について小町通りを歩いて、細い路地を入ると、こんなところにこんなお店があったのですねという体で、〈野菊〉の暖簾がかかっていました。七十五歳のお千代さんと友人のお二人が、お千代さんのご主人亡き後、切り回しているという〈野菊〉は、なるほどおばあちゃんのお店。「味がまたね、おばあちゃんなのよ。里芋と卵焼き、お願いね」と、叔母が笑いながら注文すると、「あいよ」とかわいらしい声。しばらくしてカウンターの向こうから差し出されたのは、ほくほくとしてご機嫌の里芋の煮っころがしと、布袋様の小座布団のようにふんわかとした卵焼き。量もたっぷりでおばあちゃんの優しさと懐かしさがつまっているような、おいしさでした。ここは鎌倉の呑み助さんたちの憩いの場になっているようで、叔母もすっかり馴染んでいるところが妙におもしろかったです。 帰り道、浄明寺の胡桃ヶ谷(くるみがやと)から星月夜。 |
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| 11月19日(金) 旧暦:十月八日 大安 壬寅 雨 本日、「美しい味を買う」コーナーが、リニューアルオープン。 タイちゃんがわたくしのために開発してくれた海苔から一向に品数を増やすことができなくて、大変申し訳なく思っていましたが、ようやく少し揃えることができました。いずれも、わが室町家にて愛食しているものばかり。舌感と味感は人それぞれですから、どなたにもおいしいと言っていただけるかどうかはわかりませんが、わたくしには美しい!と思えるものばかりです。 では、このホームページのために限定商品を開発してくれたタイちゃんからのご挨拶を。 「今回、弊社がご用意させていただきました商品は、その名も『室町家の食卓』。江戸嘉永年間より海苔一筋、日本橋山本海苔のおいしい海苔をたくさんの方々に味わっていただきたく思い、価格を頑張って勉強させていただきました。もちろん品質に関しても、がんこさんの厳しい試験をパスしておりますので、そんじょそこらの海苔とは違います。さらに、今回はオリジナル海苔缶をつくってみました。私、個人的に、湯島〈花月〉のかりんとう缶で好きでありまして、同じところにお願いして製作したものです。ぜひ、ご賞味、ご賞玩ください」 わたくしからも、どうぞよろしく。 |
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| 11月18日(木) 旧暦:十月七日 仏滅 辛丑 曇り 午後、今井老人、来訪。三田の知人宅から帰りとかで、〈大阪屋〉の秋色最中をお土産にくださる。白、茶、鶯。三色とも、それぞれ味わい深し。「最中に焼印された秋色の文字がなんともよいですなぁ。箱と包装紙がまた粋で」と、イッテツ。添えられた栞を読む。この〈大阪屋〉さん、明治までは小網町にあったとは知りませんでした。 |
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| 11月16日(火) 旧暦:十月五日 友引 己亥 曇り 朝方、寒し。散歩の途中、日本橋三越の新館に、初行。お店の数を絞り、ゆったりとした構え。B2は、すべてスウィートな顔ぶれ。〈ドミニク ショコラ〉というお店で、チヨコレートを八粒買う。 夜、鎌倉の節子叔母より電話。「新潟の地震もようやく収まったようで、よかったわね」年明けに、松涛の観世能楽堂で『清経』が恋之音取の小書(特殊演出)で上演とのことで一緒することにする。 |
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| 11月15日(月) 旧暦:十月四日 先勝 戊戌 雨のち曇り 朝から、ざんざ降り。村上春樹、吉本由美、都築響一共著による『東京するめクラブ 地球のはぐれ方』(文藝春秋社)を、げらげらと読む。名古屋の食文化について語られた第一章は、特笑。午後、雨上がる。隅田川に出る。途中で、今井老人に会い、並木の〈藪〉までお付き合いする。 |
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| 11月14日(日) 旧暦:十月三日 赤口 丁酉 タイちゃんと鷲神社へ。山本海苔店のお参りは、例年、二の酉。日曜日と重なり、すごい人手。日本橋まで戻り、新しい熊手を飾る。帰り、三越の裏を通って帰ると、日本銀行本館がライトアップ。仕掛け人は、〈榮太郎〉の大旦那、細田安兵衛会長。実現までは大変だったそうですが、日本橋をこよなく愛する会長さんならではのアイデアですね。 |
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| 11月13日(土) 旧暦:十月二日 大安 丙申 晴れ 良いお天気。午後、イッテツと散歩。根津から本郷へ。文京は坂の多いところ、東京にある四百三十三の坂のうち、百十五もの坂があるのだとか。切通坂、見送り坂、見返り坂、そして菊坂へ。胸突坂上の〈鳳明館〉は昔ながらの日本旅館。「こういうところで忘年会も、粋でしょうね」とイッテツ。お八つは、菊坂上の〈石井いり豆店〉で豆煎餅。 夜、タイちゃんと電話。明日の二の酉のこと、話す。 |
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| 11月12日(金) 旧暦:十月一日 仏滅 乙未 雨、のち曇り
夜半から朝にかけて雷雨も、日中薄日差すまでに回復。午後、久し振りに〈丸善〉へ。音楽評論家の吉田秀和さんの『千年の文化 百年の文明』(海竜社)を買う。 本日、ホームページを一部リニューアル。高木先生の料理コーナーも模様替え。高木家の日常をさりげなく彩る、季節のデコレーションを紹介しています。 |
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| 11月11日(木) 旧暦:九月廿九日 先勝 甲午 曇り 先日、Iさんよりいただいた便りの中に、海苔についてのとってもいい想い出話があり、ぜひ「美しい味を伝える」の中にアーカイブさせて欲しいのですが、というお願いメールをお送りしたら、快く了解の返信。とともに先日のわたくしの京都行きについての感想までいただいてしまいました。(ところで、Iさんのこと。これから勝手に“京都のイッシー”さんと呼ばせていただきます)。 「小生の便りがきっかけで、京都行きとは、なんとうれしいではありませんか。 (それは、イッシーさんの文章がなんとも京都に行きたくなるものだったからですヨ) 〈いけまさ亭〉とは、実によいお店をかぎつけましたね。さすが!です。 (ふふふ。鼻は結構いいほうなんです) メディアでもてはやされる有名店など、 高いだけで(もっとも以前には何軒も通いましたが)なんの面白みもありません。 この店は、当然、化学調味料を一切使わずやっています。 (どうりで喉にひっかるような感じがなかったのですね) おっしゃるようにリーズナブルな値段で、小生もおすすめの京都です。 (夕食とはいえ、先斗町あたりのちょっとしたお店のコースが、八千円、一万円、一万二千円というのは、やっぱり高いですよね) お気づきと思いますが、ここは「細工野菜」でも有名で、 店頭に出ている変身した野菜のいろいろも楽しめますね。 (そうだったんですか。気付きませんでした。でも、それなら包丁を扱うのはお手のものかもしれませんね。) これから冬にかけての京都の風物詩はなんといっても、鴨川のゆりかもめ。 11月から春まで越冬します。ゆりかもめ、古名は都鳥。 今では何千、何百と群れをなして鴨川や嵐山の大堰川に舞い降りますが、 平安時代の京都では、あまり見かけることのない鳥だったそうです。 在原業平が『伊勢物語』で旅の途中、隅田川の岸辺で詠んだあのあまりにも有名な歌。 東国で都鳥を見て、都に残した人に思いを寄せています。 でも、都にいる鳥ではないのに、なぜ、平安人は都鳥と呼んだのでしょうか? 明るいうちは鴨川で遊び、羽を休めるゆりかもめ。 日が落ちるといっせいに、東山を超えて帰っていきます。 ねぐらは、琵琶湖です。 京都人がこぞって口にする冬のイメージは、 鴨川にゆりかもめが舞う光景だ、といいます。 ロケーションとしては、 賀茂川と高野川が交じる出町柳、賀茂大橋あたりがよいでしょう。 神社仏閣とはまた異なった、京都ならではの「冬のソナタ」です。 おすすめの冬の京都のひとつでした。 (賀茂大橋ですか・・・。いけない、いけない。また京都に行きたくなってしまったではありませんか) 本日、定例ミーティング。夕方より、雨。 |
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| 11月10日(水) 旧暦:九月廿八日 赤口 癸巳 晴れ 暖かい日が続きます。新潟から届いた野菜を、一部冷蔵庫へ移動。午後、本郷を歩く。そういえば、本郷に縁のある樋口一葉がお札になりましたね。 |
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| 11月9日(火) 旧暦:九月廿七日 大安 壬辰 晴れ 散歩の途中、汗ばむくらいの陽気。 福井の知人より、せいこ蟹、届く。「六日に解禁になったばかりなのに、今年は早いですね」連日の贈り物に、室町家の台所と食卓は嬉しい悲鳴です。 |
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| 11月8日(月) 旧暦:九月廿六日 仏滅 辛卯 晴れ 新潟より、野菜が届く。大根、蕪、里芋、白菜、じゃが芋。「今年は雨のせいで葉ものの野菜が手に入りにくいので、助かります」とキタイ。早速、料理。里芋のそぼろあんかけ、大根は風呂吹きにして柚子のせ、蕪は即席のお漬物に。「白菜は、丸のまま残しておいて、高木先生流の鍋にしましょう」。 先日いただいた柿も渋みが取れて、食べ頃に。夕飯の後、ひとつ剥いて、いただく。山郷の味。 |
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| 11月7日(日) 旧暦:九月廿五日 先負 庚寅 晴れ 立冬なれど、暖かく、気持ちの良い一日。中央通りを、銀座まで散歩。いつの間にか、三越の新館にツリー。 |
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| 11月6日(土) 旧暦:九月廿四日 友引 己丑 曇り、時々晴れ 高木先生に電話。京都のことなど話し、小松華功先生の近況をお聞きする。 小松先生は、十二月に京都市に納める大皿の最後の追い込みで、身体も頭も全て変調を起こすほど制作に没頭されているようです。現在四度目の作品を制作中で(二月にお邪魔したときは一枚目を制作していらっしゃいました)、その中から良いものを、収めるとのこと。 「電話の向こうで、元気なお声でした。人生に於いて大きなチャンスに向かわれている先生、そしてどんな時でも、家族を労わる心、私は応援を送りたいと思いました」 |
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| 11月5日(金) 旧暦:九月廿三日 先勝 戊子 晴れ 今日も、京都の街中を気紛れ歩く。京都の散歩は、古い街並みと木々草花が醸し出す風情はもちろんですが、わたくしは街中を漂う匂いがたまらなく好きです。それは、湯葉の匂いであったり、お饅頭を蒸かす匂いであったり、煮物の出汁をとる匂いであったり・・・。さまざまな生活の匂いが迷宮のような路地を揺れながら漂っている。飽きずに何時間でも歩き続けることができる。そして、ちょっとした街角にある小さなお店にも生きている物語を感じることができます。 |
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| 11月4日(木) 旧暦:九月廿二日 赤口 丁亥 晴れ Iさんからのお便りを読んでいたら、京都に行きたくなり、一泊分の着替えだけをつめて新幹線に乗る。ふふふ、またやってしまいました。 三時過ぎに、京都着。駅からあちこち寄り道をしながら、祇園まで歩く。『ふむふむ、ここが〈由良ノ介〉か。お、〈いづう〉。こんなところに、〈菱岩〉が』などと楽しみながら、路地を歩いているうちに、夕暮れどきは、ご飯どき。 今晩の食べ処を見つけようと、鴨川を渡るも、先斗町はくだけ過ぎ、木屋町は気取り過ぎ、という感じでぴんとこず、結局、錦小路まで歩く。夜の早い錦のこと、どこも開いていないかしらと歩いていると、〈池政〉と書かれた大きな暖簾の中から、なにやらおいしそうな匂いと楽しそうな笑い声が・・・。暖簾をくぐると、そこはふつうとは違う、なんだかお祭りの寄り合い所のような食べ物屋さんなのでした。一つ空いていたテーブル席に座って、店内を眺める。テーブルはどう見てもパイプ足の長椅子にクロスをかけただけの急拵え、お品書きは冷蔵庫の扉に貼られ、床には温風機、壁には籠に入った里芋やらがころがっています。じつはこのお店、ふだんは八百屋〈池政〉で、お昼時と夜だけ料理屋〈いけまさ亭〉という二刀流の使い手なのでした。 女将さんのお話によると、「京都の料理屋は、敷居も値段も高い、おまけに食べてみたら大しておいしくもないじゃないという声があるのを聞いて、自分のお店を使ってなんとかできないかと考えて始めた」とのこと。女将さんの健全さと発想に、そこに居合わせた四組、九人の男女たちは大きく頷いたのでした。 お造り、アマダイの塩焼き、野菜の炊き合わせ、焼き椎茸で生ビールを一杯にお酒を二合ばかりいただいて、仕舞いに栗とむかごの炊き込みご飯、お味噌汁、お漬物。それで三千円とちょっとはうれしいじゃないですか。八百屋さんなのでお野菜がおいしさはもちろんですが、お魚までおいしいのはびっくりしました。隣りに座っていた、東京からいらしたというおじいちゃんが「ふらりと入ったんだけど、おいしいねぇ。ひっこんでいた食欲が出てきちゃったよ」と、帰りにお芋まで買っていました。一食何万円という料理店の対極に、こういうお店が現れるのが、京都の奥の深さなんでしょうね。 すっかり寛いでしまい、お店を出たのは、九時過ぎ。麩屋町通りを上って、宿泊先の京都ホテルへ。 |
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| 11月3日(水) 旧暦:九月廿一日 大安 丙戌 晴れ 文化の日。気持ちの良い、秋日和。午後、隅田川べりをイッテツと歩く。あちらこちらの家の庭先に、菊花。たわわに実る、柿。行く秋を見るも、また楽し。 ホームページの更新をいつもお願いしている岩本さんが、本日より産休。元気なお子さんの誕生をお祈りしています。 |
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「さて、今日は一の酉。きっとどこかの酉の市にお出かけのことと思います。今年は三の酉までですが、あの古来の言い伝えのような冬になってしまうのでしょうか・・・。」 そうです。行って参りました、鷲(おおとり)神社。浅草駅から国際通りを北に歩くと、言問通りを越えた辺りから歩道に屋台が立ち並び、肩がぶつかり合うほどになってきます。今年の一の酉は、お天気に恵まれ、行き交う人の表情も晴れやかで、楽しそうです。大きな熊手を従えた鳥居をくぐり(両脇で神主さんがお払いをしています)、まずはお参りをすませて、お隣りにある鷲在山長國寺へ。ここは酉ノ寺と呼ばれているお寺さんです。Iさんのメールにありますように、今年の十一月は酉のつく日が三度やってきます。三の酉まである年は「火事が多く、災いが起こる」との故事にならい、長國寺では火消しの纏いに見立てた火難、災難を振り払うお守り「火除護り」を授与してくれるので、鷲神社のかっこめ(熊手のお守り)とあわせて買い求めました。 あとは日が沈むころまで境内や周囲をぶらぶら。色とりどりの熊手で天地左右ぎっしりと埋め尽くされた境内を歩くと、まるで玉手箱の中にいるようで、子供ならずとも心が沸き立ちます。半被姿の熊手商、威勢の良い掛け声、熊手を肩に高々と掲げて意気揚揚と帰る商家の人々、切山椒、七味唐辛子などを売る様々な屋台・・・、酉の市は在りし日の江戸の姿と雰囲気が最も色濃く残る祭事ではないでしょうか。 帰り道、夜の中にぽっかりと浮かんだ鷲神社は、ほんとうに江戸時代から紛れ込んできたかのような佇まいでした。 |
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| 11月1日(月) 旧暦:九月十九日 先負 甲申 曇り 夕方、植木職人の今井老人が訪問。「今日は麻布十番の旧友を久し振りに訪ねましてね。はい、これはお土産」〈豆源〉のおとぼけ豆をいただく。秋の夜長のほうじ茶と合うんですね、このお豆が。 |