甘納豆の原料には隠元豆(金時)が使われる場合がほとんどであるが、榮太樓の甘名納糖には「ささげ」という種類の豆が使われている。このささげ、見かけは小豆に似ているが、皮が非常にかたく、使いみちといえば「腹が切れない」ということでおめでたい赤飯くらいしかなかった。そこで榮太樓初代、さすがは数々の江戸銘菓を発明したアイデアマン、「ささげ」で甘納豆ができないかと考えたわけである。そしていろいろな工夫を行いながら、ようやく完成したのであるが、単なる甘納豆として発売したのでは芸がない。さて名前をどうしようかと、さる先生に相談したところ、静岡にささげを使った浜名納豆というものがあるので、甘浜名納糖としたらよいだろう。しかし、それでは名称としては少々長いし、言いにくい。そこで浜の一文字を取って甘名納糖になった、ということである。榮太樓の甘納豆は、「あまなっとう」ではなく、なぜ「あまななっとう」なのか? 我輩は不思議に思っていたのであるが、その謎が細田会長の話を聞くことによってようやく解けたのであった。追記)当時、原材料として高くはなかったはずの「ささげ」であるが今は専業の畑はなく、宝石のように高くなってしまったのは、なんとも皮肉である。 |