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| 三月三日は、雛の節句。子供の時分、ひな壇に供えられた白酒を見つけ、お猪口でちょこっといただきながら、大人の仲間入り気分に浸ったことを懐かしく思い出します。 白酒は『枕草子』や『源氏物語』に登場しますが、これは白く濁っている酒、白濁酒のことです。今日のような雛祭り用の白酒ができたのは江戸以降とされ、江戸の中期になると、市中を白酒売りがねり歩くほど人気を博したそうです。鎌倉河岸にあった有名な〈豊島屋〉では、雛祭りの日だけで二百五十石(45キロリットル) も売ったといいます。歌舞伎十八番『助六』に出てくる白酒売りもよく知られていますね。 そんなわけで、白酒こそ三月の季題にふさわしい。と思って選んではみたものの、いざメニューを考える段になり、あまりにも時期が限定されてしまうことに気が付きました。そこで、急遽、白酒をひな壇に棚上げして、酒かすに変更。ちょっとズルをさせていただきましたが、お酒つながりです。どうぞご勘弁を。〈酒かす汁〉と〈冬野菜の酒かす煮〉、どちらも身体を芯からほかほかと温めてくれる、冬においしい料理です。酒かすの旬は、蔵元が日本酒を醸造する十二月頃から二月にかけて。今なら新粕が手に入ります。また、酒かすを使った料理は、一晩置いた方が味がなじんでおいしくなります。 今回、器として使用しているのは、小松華功さんの作品。京都の山奥、丹波の工房『蕗窯(ふきがま)』で創作活動に励む、私が大好きな陶芸家の一人です。ご連絡をしたところ、快く了解してくださり、数日後には作品がどっさりと届きました。小松先生の作品を並べた我が家の居間は、ちょっとした個展会場のようです。 |
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