連雀町のお風呂
以下は、『新そば(122号)』―かんだ藪三代目堀田康一翁追悼特集―の中、稲葉八朗氏(松戸〈関やど〉四代目)「堀田康一翁を偲んで」の付記として書かれた文章である。

『藪そば』は、かつての沙羅屋の建物の並ぶ須田町の交差点付近(かつての連雀町)にあり、東京下町にあって戦火を免れた町に一家には『ぼたん』(鳥料理)、『いせ源』(アンコウ料理)、『竹むら』(ぜんざい)等という名店が昔のままのように並んでおります。長い間、不思議に思っていたのは、その地域には内風呂がなかったことでした。この日本を代表するそば店の大旦那さん、女将さんが風呂桶を持って銭湯に通っていたことも、感動とともに懐かしく思い出します。*()はイッテツ補足

四代目の康彦氏に話を伺った際、「以前は風呂上りに手ぬぐいを引っ掛けて来店するお客様がたくさんいらしたものですよ」と聞き、江戸の粋を感じた我輩であるが、それは何を隠そうそばを提供する側の姿でもあったのである。