| Ganko: |
いわゆる食通というような書き方をされていることもあります。 |
| 山 内: |
いや、食通っていうような感じの人とは違いますよ。ただ、うまいものが好き!そういう人です。気取っているのは嫌いですね。懐石風のものとか、器がきれいだとか、ちょこっとしかのっていない。こんなケチくさいのはいやだ。うまいもんもっとたくさん食わせろってね(笑) |
| Ganko: |
小津監督は体も大柄ですし、やはり大食漢だったのでしょうか。 |
| 山 内: |
実際に見ていますとね、どんな料理もそれほどたくさんは召し上がらないんですよ。 |
| Ganko: |
そうなんですか。 |
| 山 内: |
やっぱり主力は飲む方にいってしまいますからね。大勢でわいわい食べているのを見ながら、人をからかったり、馬鹿話しながら飲んでいるのが、至福のときというような顔をしておられますね。 |
| Ganko: |
楽しそうですね。 |
| 山 内: |
そうだね。どかっと構えて、腕まくりされて。汗をかきながらね。飲んでますよ。飲みますからねぇ、なかなか。 |
| Ganko: |
やっぱり相当お飲みになるんですか。 |
| 山 内: |
飲みますよー。私も相当飲むと思うけれどかなわない。 |
| Ganko: |
負けますか。 |
| 山 内: |
負けますねぇ。 |
| Ganko: |
やはり好みは日本酒ですか。 |
| 山 内: |
日本酒ですね。 |
| Ganko: |
お好きな銘柄などありました。 |
| 山 内: |
家でお飲みになるときは菊正宗だったでしょうかね。でも、何でもお飲みになりますよ。銘柄にこだわってこれしか飲まないよっていうようなそういう通とは違いますから。それは気取ってるでしょ。俺はこれしか飲まねぇとか、そういうタイプじゃないんです。うまけりゃいいってね。うまけりゃ(笑) |
| Ganko: |
理屈なんか関係ないと。 |
| 山 内: |
ちょっと余談になるけれど、当時は冷酒というのはあんまり飲まなかったですよ。吟醸の酒はまだなかったからね。醸造酒ばっかりですから。醸造ってのはお燗して飲む酒。それと比べたらいまの吟醸ってはスイートな感じになっちゃってね、なんだかぶどう酒みたいでしょう。若い男の人とか女の人とかはいいんだろうけど、やっぱりお酒とはちょいと違うんだな。だから私なんかでもお酒といえばいまだに燗ですね。 |
| Ganko: |
日本酒を召し上がる時に必ず召し上がるおつまみのようなものはありました? |
| 山 内: |
そうだねぇ、海栗(うに)が割合にお好きでしたでしょうか。あとは海鼠腸(このわた)ね。そういったのは日本酒のつまみとして定番でしたね。ちょいちょいとつまみながら。お刺身みたいなものはあまり食べなかったですね。嫌いではなかったですが。どちらかと言えば、やっぱり動物性たんぱくの方がお好きでしたね。 |
| Ganko: |
お野菜などは。 |
| 山 内: |
野菜はほとんど嫌いといってもいいんじゃないの。お浸しとか、煮付けみたいなものもあんまり食べないでしょうね。生野菜なんか絶対食べない。サラダも大嫌いでしたね。農家の方にはわるいけど、先生に言わせたら生野菜なんていうのは鶏がついばむものっていうくらいしか思っていらっしゃらないからね(笑) |
| Ganko: |
まあ、ひどい。そういえば、スイカもお嫌いだったとか。 |
| 山 内: |
スイカなんぞは猿の食うもんだって言うんですよ。また佐田啓二がスイカが好きでねぇ。おまえはなんでこんなもの食うんだって、よくからかっていましたよ。 |
| Ganko: |
ご飯とお味噌汁は? |
| 山 内: |
朝は、食べておられましたよ。海苔とお新香、そういうものはお好きでしょう。それからね、お茶漬けするのに鮭の燻製を薄く切って炙ってね、少しぱりぱりになったところをご飯に乗せて食べるのはひどくお好きなようでした。 |
| Ganko: |
炙るっていうところがいいですね。すごくおいしそう。 |
| 山 内: |
そうかね。私も炙るよ。炙るとうまいもんだよ。ちょっとぱりっとしてね。油がじいっと滲んできてね。 |
| Ganko: |
お豆腐は。 |
| 山 内: |
お豆腐はお好きでしたね。とくに冷奴。まあ、淡白なものはどちらかというとお好きでしたね。 |
| Ganko: |
それで鰻とか動物性も好きなんですね。 |
| 山 内: |
そう。よくわからないな、こりゃ(笑) |